相続税　日本vsアメリカ

相続税　日本vsアメリカ

2024年8月31日

Ｑ. 相続税のシステムを日本とアメリカで比較していただけないでしょうか？

日本とアメリカの相続税システムにはいくつかの共通点がありますが、税率、控除額、適用される範囲などにおいて大きな違いもあります。以下に、主要な違いと類似点を簡単に比較してみます。

1. 相続税の課税範囲

日本: 日本の相続税は、被相続人（亡くなった人）の国籍や居住地に関わらず、日本国内にある財産と一定の条件下で海外にある財産にも課税されます。また、日本に居住している相続人が受け取る全世界の財産も対象となります。

アメリカ: アメリカの相続税は、主に米国市民および米国居住者の全世界の財産に課税されます。非居住者の場合は、アメリカ国内にある財産にのみ課税されます。

2. 基礎控除額

日本: 日本の基礎控除額は、以下の計算式に基づいて決定されます。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数この基礎控除額を超える部分に対して相続税が課税されます。

アメリカ: アメリカでは、2024年現在、基礎控除額は約1292万ドル (約18億880万円１ドル＝140円換算）です。この金額を超える財産に対して相続税が課されますが、この控除額はインフレに応じて調整されることがあります。

3. 税率

日本: 日本の相続税率は累進課税で、課税遺産額に応じて10%から55%まで段階的に上昇します。

アメリカ: アメリカの相続税率は一律の累進課税で、最高税率は40%です。

4. 贈与税との関係

日本: 日本では、生前贈与を通じて財産を移転することにより、相続税を軽減することが可能ですが、贈与税も課税される可能性があります。また、相続開始前3年以内の贈与については、相続財産に加算されます。

アメリカ: アメリカでも贈与税が存在し、贈与税の免税額は年間16,000ドル（2024年現在）です。生涯贈与の免除額は相続税の基礎控除額と共通であり、贈与額が基礎控除額を超える場合、相続税に加算されることがあります。

5. 配偶者控除

日本: 日本では、配偶者が相続する場合、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い方まで無税で相続可能です。

アメリカ: アメリカでは、配偶者間の相続は原則として無税ですが、これは「無限配偶者控除」と呼ばれる特例によります。ただし、配偶者が米国市民でない場合、適用条件が異なることがあります。

まとめ
日本とアメリカの相続税システムは、基本的な仕組みは似ているものの、基礎控除額や税率、配偶者控除などにおいて大きな違いがあります。特にアメリカの基礎控除額が非常に高い点が、日本と大きく異なる点です。これらの違いを理解し、相続税対策を行う際には、各国の制度を十分に把握しておくことが重要です。